法人で起業するメリットは?
前回のお話
起業=会社(法人)設立という訳ではありません。前回は、起業する際の形態の決め方の大まかな流れと、個人事業主と法人の大まかな違いについて解説します。
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起業形態は個人事業主と法人の2種類ある
今回のお話
起業する時は、個人事業主と法人という2種類の形態がある事をお話しました。今回は、法人で起業するとどのようなメリットがあるか、個人事業主と比較して解説していきます。
このページの目次
個人事業主と法人の信用力の違い
2.事業に対するリスクが低い
3.節税に有利
4.法人で起業するメリットを整理
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起業するならどっち?個人事業主と法人の違い
個人事業主と法人の信用力の違い
個人事業主 | 法人 | |
売上関係取引 | ×
新規取引できない場合あり |
〇
悪影響はない |
仕入関係取引 | ✕
支払い条件で不利になる事がある 与信審査で不利になる事がある |
△
最初は支払い条件が不利になる事がある |
他の経営者からの見え方 | ×
会社設立費用をケチった奴という印象 |
〇
悪影響はない |
ワンポイント!
見込み客の中には「個人事業主とは取引しないという社内規定がある」ところもあります。一方、商品やサービスといった根本的な問題は別として、株式会社や合同会社といった法人で起業した場合はこういった心配はありません。
ワンポイント!
個人事業主というだけでそもそも取引をしてもらえないケースもあれば、支払い条件が不利に取り扱われるという場合がある(会社設立で起業した場合も創業当初は仕入代金前払いというケースも多いですが)のです。資金繰りというのは起業でとても大切な事です、これは業種や業界によって異なるので、ご自分の環境からよく考えなければなりません。
信用力という点でいうと、個人事業主と比べると圧倒的に法人が有利です。新規取引先を開拓する場合、個人事業主と法人の違いは大きくなります。
個人事業主というだけで新規取引が出来ない会社や、個人事業主と取引する場合は仕入代金を前払いにするという規則を定めている会社もあります。
法人でも創業期は信用力で苦労しますが、個人事業主ほど不利になる事はありません。世間は個人事業主を力の小さい存在と見る風潮があるのです。
周りの経営者の見方も違います。「法人の方が便利なのに個人事業主にするのは、たかだか20万円程度の設立費用をケチった奴」と見られ方をされる事もあります。
※僕が言っている訳ではありませんよ。
相手から良く見られたいと思うならば、個人事業主と法人の違いは大きなものとなります。自分のお客さんや周辺環境をよく考えて決める必要があります。
ワンポイント!
〇起業形態には「個人事業主」と「法人」の2種類がある
〇まず個人事業主と法人どちらが最適かを考える
〇安易に会社(法人)設立すると損するコトもある
事業に対するリスクが低い
事業に対するリスクは圧倒的に法人の方が低いです。法人は社長個人と別人格として扱われますので、借入金や損害賠償、税金の滞納といった責任は会社が全責任を負うという事になります。
すなわち、法人で事業を行う場合、万が一の事があれば法人名義の預貯金といった法人財産で責任を負えば良く、個人の財産は守る事ができます。
高額な税金、損害賠償請求、銀行からの借入など。事業を行うと必ずリスクが発生します。個人財産で全責任を負うとなれば、事業の失敗=人生の失敗という事になりかねません。
事業を失敗してしまった場合、個人財産は今後の生活の糧であり再度立ち上がる時の糧になります。個人財産を守れるという事は会社設立の大きなメリットになります。
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節税に有利
個人事業の利益には所得税という税金がかかって来ます。会社の場合は、役員報酬には所得税、会社の利益には法人税という税金がかかる事になります。
所得税は収入が低ければ税率も低く、収入が高くなれば税率も高くなります。一方法人税は利益が800万以下ならば15%、利益が800万超ならば23.2%程度です。
年間の「売上-経費」が400万円を越えてくると、個人事業主より法人の方が税金が安くなります。
個人事業主 | 法人 | |
自宅が賃貸の場合 | ×
事業主は節税不可 |
〇
社宅制度で節税可能 |
仕事で遠方に行く場合 | ×
事業主は節税不可 |
〇
出張手当で節税可能 |
家族への給与 |
△
使い勝手が悪い |
〇
使いやすい対策有り |
法人で起業するメリットを整理
法人で起業するメリットを整理すると、
信用力が高い
事業リスクが低い
節税対策が豊富
という事でした。
「信用力の高さ」や「事業リスクが低い」といった事は法人組織でないとどうしようもありません。
一方、「節税対策」の場合はどうでしょうか。
会社の節税効果はたしかに有効ですが、個人と会社の税金構造の違いに併せて、社宅や出張手当、家族への給与で所得の分散といったより高い効果を発揮します。正直人によるという側面もあります。
WEBでは税理士さんが節税効果が高いといって会社設立を押しますが、会社は運営コストの負担が大きいので、節税という金銭面を見るのであれば必ず運営コスト面も把握して考えるようにしましょう。
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