登記における目的変更って可能なの?
商業・法人登記の際に記載が必要となる「事業内容」(=目的)の項目は、法人の事業活動の範囲を規定する非常に重要な項目です。この事業目的を登記が完了した後に変更したい場合にはどうすれば良いのか?また、そもそも登記における目的変更は可能なのか?
本記事では、登記における事業内容変更手続きについて詳しくご紹介します。
登記における目的変更は可能か?
登記における事業内容の項目は、一度登記が完了した後であっても変更することが可能です。事業を続けていく中で以下の様なケースに遭遇した場合、登記における目的変更が必要となることが考えられます。
A:許認可を受ける上で特定の事業内容が登記簿に記載されていることが要求される場合
以下の様な事業内容は、登記簿の事業内容にその事業内容が記載されていなければ国の営業許可を受けることが出来ません。こうした事業を新しく始めたい場合には、事業目的の変更が必要となるでしょう。
事業目的への記載が許認可の要件とされる事業
・介護事業
・古物商
・労働者派遣事業 …etc
B:金融機関からの融資を受けたい場合
銀行などの金融機関が会社への融資を検討する際、必ずその法人の事業目的の確認が行われます。この際、事業目的に記載のない事業に関する融資や資本金額の割に事業目的が多すぎるケースでは、金融機関から融資を受けられない危険性があります。
こうした事態を防ぐ為にも、金融機関からの融資を検討している法人は事前に事業目的を確認、そして場合によっては変更する必要があると言えます。
登記の目的変更手続きの手順
実際に会社の目的変更手続きを完了する為には以下の2つの手続きが必要です。
1:定款の変更手続き
事業目的は定款の記載事項なので、目的変更手続きを行うにはまず定款変更の特別手続きを、株式総会で行う必要があります。
定款変更の特別決議は、発行済議決権株式総数の3分の2以上の賛成により成立します。この特別決議が成立することで初めて、定款変更の効力が発生します。
2:事業目的の変更登記
定款の変更手続きが完了することで、事業目的の変更登記を行うことが可能となります。
事業目的の変更登記には、以下の書類の提出が必要となります。
・株主総会議事録
・OCR用紙
・変更登記申請書
編登記申請書への記載内容に関しては、「事業目的に追加・或いは事業目的から削除する内容のみではなく、登記変更後の登記簿謄本に記載する事業目的の全てを記載しなければならない」という点に注意が必要です。
目的変更手続きの際には税金が発生する
また、目的変更の手続きには「登録免許税」という税金が発生します。登録免許税は登記変更手続き一件あたり3万円となっています。
この登録免許税のポイントは、変更「項目」の数ではなく変更「手続き」の数によって額が変動する、という点です。例えば、商号変更登記と目的変更登記を別々のタイミングで行った場合には、3(万円)×2(件)=6万円の登録免許税が発生しますが、これらの変更を1つの手続きで行ってしまえば、発生する登録免許税を1件分の3万円に抑えることが出来るのです。
従って登記簿内の複数の項目を変更したい場合には、節税面で一度の手続きでまとめて変更してしまうことを推奨します。