創業融資を受ける為のポイントと注意点
今回は、創業融資を無事受け取る為のポイント、その他創業融資に関して質問される事項、注意点などについて解説しています。是非ご参考にして下さい。
【目次】
創業融資を受ける為のポイント2点
自己資金について
創業融資の審査はここまでチェックする
借りたお金の運用方法は明確に
一度断られてしまった後の申請
許認可が必要な業種の場合
不動産を借りる場合
個人事業主と会社どちらが通り安いか
創業融資を受ける為のポイント2点
事業が安定的に継続できるという事をアピールする
創業融資はこれから事業を始めるという創業間も無い事業者に対して融資を検討するという制度です。つまり、融資申請時には売上が0円でも問題ありません。こちらがお金を貸す立場で考えた場合、これは凄いことです。普通の貸し借りで、現在収入がない人に300万円を貸し付けるなんて事はありえません。
売上が0円、現在収入がない状態の事業者を審査するというのは、日本政策金融公庫や保証協会は何を基準に融資をするか否かを決めているのでしょうか。
創業融資の審査をする場合、金融機関は創業者の事業が爆発的に成長するか否かはあまり重点を置きません。金融機関は究極的に言うと、貸したお金と利息を返してくれれば問題ありません。
創業当初は売上が安定しないとして、早期に売上が安定するか、経費はどの程度必要か。たとえ少なくても売上が安定していて対する経費が少なければ事業は長く続きます。結果、金融機関も貸したお金と利息は回収できるのです。
具体的には
〇売上が安定する確率の高さ
〇いかに経費がコンパクトか
といった事をアピールする必要があります。
事業主の信用力
金融機関は信用力を大事にしています。そのため、創業者が信用できる人間かという事も重要な要素となります。いくら事業内容が魅力的であっても、創業者が怪しかったり、ふさわしくない人物だった場合には、金融機関は融資をしてくれません。
その為、「過去の金銭の焦げ付きは精算し、正直に伝える(隠してもどうせ出てきます)」「経歴について嘘をつかない」というように誠実に取引する事を意識して下さい。また「自分がどういう経歴でなぜ起業しようと思ったか」しっかり伝える事も重要です。
自己資金について
自己資金の準備で創業融資は躓く事が多いです。日本政策金融公庫の場合、自己資金は融資希望額の1/10(H30.4現在)で大丈夫というルールがありますが、色々注意する点があります。
創業融資で言う所の自己資金
創業融資で言うところの自己資金とは、基本的に自分で用意した事業に使える返済不要の現金の事を言います。資本金の金額=自己資金になるかと言えばそうではありません。
例えば、50万円相当の自家用車を現物出資しそれだけを資本金として会社設立した場合、金融機関からすれば結局は現金0円しか持っていない会社という認識になります。一方、資本金50万円で会社設立したが、事業主の個人口座に250万円ある場合、この会社は合計300万円の自己資金があると判断してくれます。
現物出資?と思われた方はこちらの記事をご覧下さい。
資産を利用して資本金にする現物出資で会社設立する方法
融資申請時に自己資金の資料を添付
自己資金とは返済義務の無いお金の事と前述しましたが、返済義務の無いお金の代表例としては、これまでコツコツ貯めてきた貯金の事です。ここで注意頂きたいのですが、創業融資の際は自己資金を貯めていた。という記録も提出する必要があります。具体的には貯金を貯めていた預金通帳です。
毎月5万円ずつ貯金している通帳を見せれば、誰が見てもキチンと貯めていたんだなと分かると思います。逆に、通帳に突然100万円の入金があり、これをコツコツ貯めたお金です。といっても怪しく思われるだけでしょう。
自己資金は信用力に関わる
創業融資では信用力が大事だというお話をしました。あなたがどういう人間か、どういう思いで下積みを経験し起業を決意したか。その一つ一つの誠実さが信用力となるのです。その際、言動と自己資金が伴っていないと事業に対するやる気を疑われてしまいます。金額の大小では無く、努力して貯めてきた金額というのが大事なのです。
また、前述のコツコツ貯めた預金通帳の記録がないという場合「自己資金100万円はタンス預金です」と言い訳するという方がいらっしゃるのですが、そんな嘘をついていたら信用力を疑われてしまいます。こういった場合ですと、親族から借りた場合も返済不要の資金として見てくれる場合もありますので、正直に説明するというのも大事でしょう。
創業融資の審査はここまでチェックする
事業主個人名義の口座
創業融資を申し込むと、事業主個人名義の口座の提出を求められます。前沭した自己資金の貯め方、毎月の住宅ローンの金額、消費者金融への返済から個人的な借入金の返済が無いか。こういった事をチェックされます。金融機関は事業用に貸したお金が他の事に使用されるのを嫌うので、身のきれいな方にしか融資をしてくれません。
納税状況
日本政策金融公庫と保証協会付制度融資は国の政策で動いている制度です。ですので、税金を納付していない方(滞納があるという事)については融資をしてくれません。確定申告をキチンとしているか。所得税を漏れずに納めているか。確定申告書や納税証明書の提出を求められます。
別会社の経営状況
今回創業する事業とは別に、過去に会社の役員になっていなかったか。金融機関のデータベースを元に役員経験を調査されます。その際、その会社が廃業していたのであれば、なぜ廃業したのか。自分にどういった責任があるのか。といった事を確認されます。
事業主の情報をインターネット検索している
事業主の個人名でインターネット検索もしているようです。過去に、事業主が2ちゃんねるで悪く書かれていた(事業主本人に非がある)という事で信用力を疑われてしまい、申請金額から減額されたという事がありました。
借りたお金の運用方法は明確に
資金用途が明確な創業融資は受けやすい
創業融資は「資金用途」を厳しい目で見てきます。金融機関は貸したお金を回収したいので、必要最低限のお金しか貸したくないからです。また、しっかり資金計画が考えられているか事業主を審査するという意味もあります。極端なドンブリ勘定の人にお金を貸すのは嫌ですからね。
資金用途は「設備資金」と「運転資金」に分かれます。資金用途を明確にする為に、設備資金は設備の見積書を用意し、運転資金は事業計画書をしっかり作り込みましょう。
一般的には、設備資金の方が融資がとおり安いと言われています。僕自身あまり意識した事はないのですが、見積書などで資金用途が明確になりやすいという事でしょう。
ポイントは「必要な資金だと理解してもらう事が大事」です。
一度断られてしまった後の申請
この場合、断られた理由が重要です。ダメだと判断された理由が解決できた場合、再度申請をすれば創業融資はおりるでしょう。ただし、こういった場合、「2~3ヶ月経過して売上が立ったら申請して下さい」というように具体的に伝えてくれる事が多いです。金融機関としては「融資を出しても良いけどまだちょっと不安だな」程度のレベルでしょうか。
断られたケースの殆どは、金融機関担当者は理由を教えてくれません。そうったケースは以下のような原因が多いです。
〇自己資金を盛っているのがバレた
〇事業経験が少ない
〇事業計画が甘い
〇個人の信用情報に引っかかった
主に、信用力に疑いがかかるような事案です。こういった信用力で疑いがかかるようなケースの場合、再度申請して土台に上がるまでは1年程度の期間が必要です。結局、こういった情報が金融機関に残ってしまっているので、ここから状況が変わったという事を証明しなければならないからです。駄目だった原因を分析し、コツコツ改善する。そして次のチャンスは逃さないという事が大事です。
許認可が必要な業種の場合
許認可の取得が必要な業種の場合、許認可が取得できる事を前提に融資を受ける事ができます。つまり、許認可がおりないと融資が実行されないという事になります。
融資の申請は許認可取得前に金融機関に対して行えますが、その審査が通過しても、許認可取得後にしか融資は実行されません。
不動産を借りる場合
融資を受けたら店舗を借りて出店する。こういった方もいらっしゃるでしょう。この場合でも創業融資を受けるためには「場所を確保して事業が問題なくスタートできる」「支払金額を明確にする」という事をしておかなければ金融機関の審査は通りません。
もし、融資を受ける事が出来なければ起業できないというのであれば、本契約はしなくても大丈夫なので、仮契約書などで場所を確保している事を証明し、初期費用の見積書などを貰うようにして下さい。
個人事業主と会社どちらが通り安いか
正直、個人事業主でも会社の場合でも創業融資の成功率は変わりません。一般的に会社の方が信用力があるとは言われていますが、金融機関からすれば、個人事業主だろうが会社だろうが、結局は事業主個人の信用力で判断するからです。個人でも会社でも借りれる人は借りれるし、無理な人は無理という事です。