創業融資は受けるべきなのか?
起業する際、創業融資は受けておいた方がいいのか?こういった質問をたまに受ける事があります。今回は、起業時に創業融資を受けるべきなのかについて、理由と共に解説します。
【目次】
そもそもお金は借りるべきか?
・創業時は借りれるだけ借りた方がいい
・事業は増やすためにお金を使う
・お金が余分にあるだけで気持ちが違う
問題は借りたお金の使い方
・お金を増やすために使わない
・新しい事業への投資
創業時こそ融資を受けた方がいい理由
・創業期は融資を受けやすい
・本当に欲しくなってからでは借りにくい
・創業期の融資制度は金利が安い
そもそもお金は借りるべきか?
創業時は借りれるだけ借りた方がいい
事業を起こした場合、お金は借りるべきなのでしょうか?「借金=悪い事」というイメージをお持ちの方が多いように感じます。
結論から申し上げますと、創業時にはお金を借りれるだけ借りておく事が鉄則だと思います。
よく「借金は返さなければいけないから」とか「知り合いから十分出資してもらえるから」といった事を言う起業家の方がいらっしゃいます。
業種にもよるのでしょうが、事業を行っていくにあたって資金はいくらあっても問題ありません。資金が沢山あった方が確実に利益はでますし、お金があるからこそやりたい事が出来るのです。
事業は増やすためにお金を使う
借金=悪い事。確かに日常生活で借金をする事は望ましい事ではありません。ですが、事業を行うという事に関しては全く別です。通常の借金の感覚とは違います。
例えば、
A 50万円の車を仕入れて60万円で売る。
B 100万円の車を仕入れて120万円で売る。
どちらが多く利益が出るでしょうか?
Aの例で、50万円の仕入資金しか無ければ利益は一回の仕事で10万円しか上がりません。ですがBの例で100万円の仕入資金があれば一回の仕事で20万円の利益が上がります。
500万円の仕入資金が使えればどうでしょうか?100万円の車を5台仕入れてさばけるならば、20万×5で100万円の利益が上がります。
あとは借りたお金のおかげで上がった利益で返済+金利の支払いができるかどうかだけです。新しいビジネスを開拓するようなモデルは先行投資型になるので不向きかもしれません。
ですが、事業を回していく上でキャッシュフローを強くする事は大事な事です。事業でキャッシュフローを回す為には資金がどうしても必要です。なので、お金は多い方がいいのです。
お金が余分にあるだけで気持ちが違う
事業を行っていると、資金詰まり(支払するお金が足りなくなる事)になる時があります。利益が出ている時でも、入金よりも前に支払いが来てしまったというような場合です。
本来は資金詰まりする事は無かったはずなのに。。。というケースもあります。入金は休み明け、支払いは休み前。というようなケースです。
資金繰りを気にして仕事をするというのは本当にストレスになり、負担が大きいものです。10日だけお金を融通してもらうように手配したり。。。
「あれ、俺金融屋やってるのかな?」
という冗談が社長さん同士で出たりします。終わってからなら冗談で済みますが、実際のストレスは大きなものです。余分な資金があるだけで、負担が全然違います。
この際の利息というのは、いわば保険料のようなものです。
問題は借りたお金の使い方
創業時はお金は借りれるだけ借りた方がいいというお話をしました。その理由は「資金が多い方が利益が増える」「資金が多ければ資金詰まりの心配がない」という理由でした。
事業を行う上では「借金=悪い事」という訳ではないと僕は思っています。ですが、これは正しいお金の使い方をした場合だけだと思います。
これから解説するような事例については、あまりよくない借入金の使い方(あくまで個人的な見解)です。このような理由で融資を受けないように注意して下さい。
お金を増やすために使わない
例えば「会社の売上が安定するまで、会社から自分への役員報酬(お給料)にあてる」というようなケースです。
入金の目途が付いているような場合の一時的な問題ならば大丈夫ですが、入金の目途どころか売上が安定するかどうかまで見えていないような場合。
こういった借入金の使い方は全くの無駄遣いです。こういう方は90%失敗すると思います。このお金の使い方は節約で何とかできないか?アルバイトすればしのげるのでは?
色々な方法で資金を残しておく必要があります。生活費については、アルバイトの時間が勿体ないから借金で食いつないで早く売上を上げると気合で成功した方もいらっしゃるので何とも言えませんが。
とにかくお金が増えない無駄な使い方でないかという事です。
新しい事業への投資
新しい事業というのは、今世の中にないような事をビジネスにするような場合をいいます。こういったケースはいつマネタイズするかが見えにくいので、借入金でやりくりするとしんどいです。
こういったケースでは、まず安定して売上になる事業を確立し、そこで入ってくる資金で返済できるようになってから投資をする事が望ましいです。
一からスタートして世の中にない商品を販売しているような方でも、創業時は借入金で先行投資を行い、併せて安定した収入を確保できる事業と併用するというやり方をしています。
返済する資金は安定して売上を上げるという事が大事です。
創業期こそ融資を受けた方がいい理由
借金=悪い事ではない、借金の使い方にこそ注意しなければいけない。これらについて解説していきました。融資というのは創業時に借りれるだけ借りた方がいいというお話もしました。
ここから、なぜ創業時にお金を借りるべきかという理由について解説していきます。
創業時は融資を受けやすい
金融機関も商売ですから、利益を出す会社にお金を貸します。が、創業期の会社は売上実績がありません。そこで、日本政策金融公庫や保証協会が支援する事で創業期の会社は融資を受ける事ができます。
この場合、売上実績はありませんから、事業計画の売上予想を見て日本政策金融公庫や保証協会は融資の判断をする事になります。
簡単に説明すると、「実際どうなるか分からない事業に対して、絵に描いた餅でお金を貸してくれる」のです。これは凄い事なんです。
ある意味、売上実績が無い創業時というのは資金調達には有利になります。起業した方の殆どは当初売上獲得に苦労しますので、実績で見られると厳しい所があるからです。
こうした理由から、創業期、早ければ早いほど融資を受けやすい事が多いです。逆に言えば、創業から半年程度経過してしまった場合、万が一芳しくない実績がたってしまうとよろしくありません。
本当に欲しくなってからでは借りにくい
創業から1年程経過したお客様より、創業枠が使えるので融資を受けたいといったご相談を頂くのですが、こういったケースは苦労する事が多いです。
仕入資金が足りない!といった売上拡大の為の必要資金ならば問題ありませんが、融資を受けたくなるという時は会社の資金が苦しくなってきた時というケースが多いです。
創業間もない時期であれば、事業計画を上手に描けば融資を獲得する事は可能です。
しかし、創業からある程度の時期が経過し、売上が少なくて資金が苦しいというような実績ができてしまうと、制度の対象となっても創業融資を受ける事は難しくなってしまいます。
創業期の融資制度は金利が安い
日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資といった、創業期に使える融資制度は金利が安い事が特徴です。利息や信用保証料を含めてそれぞれ2%程度のランニングコストです。
これは100万円借入をしても、年間2万円程度のコストしかかからないという事です。
仕入代金100万円があれば、年間2万円の利益はでるのではないでしょうか。資金詰まりの心配がない保険料して考えても年間2万円は安いと思います。
このページのまとめ
〇事業を行う上では借金=悪い事ではない
〇問題は借りたお金の使い方
〇借りたお金で上手に利益を出す
〇余分に資金があるだけで気持ちの余裕が変わる
〇創業間もない時期は計画だけでお金を借りれる
〇本当に欲しくなってからでは借りにくくなる事も
〇創業時の融資制度は利息が安い