個人事業主と法人の資金調達の違い
前回のお話
個人事業主と比較して法人は金銭面で負担が大きいというデメリットがあると前述しました。前回は、実際個人事業主と法人で運営コストがどの程度変わってくるかについて解説しています。
今回のお話
個人事業主比較して、株式会社や合同会社といった法人組織の場合は資金調達がしやすいといったお話を耳にされるかと思います。今回はそのあたり実際どうなの?という所を解説していきます。
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個人事業主と法人で資金調達って何が違う?
【目次】
1.資金調達の難易度は変わらない
2.抱えるリスクは大きく変わる!
3.利用できる資金調達方法の違い
資金調達の難易度は変わらない
資金調達の難易度的な問題は、僕の感覚的には個人事業も会社も変わらないと思います。
どちらで起業しようと資金調達しやすくなる訳では無いという事です。
創業融資の場合は、社長さんの経験と自己資金が重要な判断軸となります。会社設立したからと言って、自己資金10万円で全く下積み経験が無い方には融資がおりません。
逆に、個人事業で自己資金10万円しかなくても、下積み経験が3年しっかりあれば、創業融資の土台に十分上がります。結局、社長さん個人が信用できる人か否かの問題です。
補助金は国の審査に通過すれば良いのですが、会社だからといって審査が有利になるわけではないですし、助成金は条件にあうようにキチンと労務管理をしていれば問題ありません。
個人事業でクラウドファンディングで500万以上集めたり、個人投資家から500万集める(出資ではなく借入という形になりますが)方もいらっしゃいます。
あくまで投資を受ける事ができるか、借入になるかという程度の違いです。
何が言いたいかというと、会社設立したから資金を集めやすくなるという甘い話はどこにもなく、結局は社長さん個人の信用や事業に対する熱意が全てを握っているということです。
抱えるリスクは大きく変わる!
社長さん個人と会社は別人格になりますので、会社で借りたお金やクラウドファンディングで集めた売上というのは全て会社が責任を負うことになります。この辺りは前に少し説明しましたね。
創業融資を受けたお金を返済出来なくなった。クラウドファンディングのプロジェクトが失敗した。会社設立の場合はこういったケースでも個人財産を守る事ができます。
創業融資の場合、日本政策金融公庫の創業融資は「無担保無保証」といって社長さん個人を基本的に保証人にはしません。が、自治体などが行っている「保証協会付融資」は社長さんを保証人にさせます。
それぞれメリットとデメリットはあるのですが、リスクヘッジを目的に会社設立した方は保証協会付融資をしないで下さい、せっかくのメリットがなくなってしまいます。
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日本政策金融公庫と保証協会付融資、創業融資にはどちらがいいか
利用できる資金調達方法の違い
個人事業 | 会社設立 | |
創業融資 | 〇
可能 |
〇
可能 |
補助金・助成金 | 〇
可能 |
〇
可能 |
個人借入 | 〇
可能 |
〇
可能 |
クラウドファンディング
(購入型) |
〇
可能 |
〇
可能 |
クラウドファンディング
(投資型) |
×
不可 |
〇
可能 |
投資 | ×
不可 |
〇
可能 |
上記の表をご覧頂ければ分かるように、資金調達方法に関しては個人事業と会社それぞれあまり違いはありません。
違いがあるとすれば、クラウドファンディング(投資型)や個人投資家などから出資(株式発行して資金を調達)を受けるような事は株式会社しかできないという所です。
500万程度であれば、投資家から個人的に借入という形で資金調達する方もいらっしゃいますが、数億円規模での資金調達をする場合はどうしても投資という形になります。
こういった事業展開をする場合については、会社組織である必要があります。
個人事業から会社組織に変更して投資を受ける。という事も可能ですが、どうしても時間が掛かってしまうので、事業を早く拡大したい!という方は事前から会社設立で起業するのがいいでしょう。
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