会社の税務申告が自分で出来る「全力法人税」使ってみた
会社設立したら税理士は必要なの?できれば税理士費用を抑えたい。。。こう考えている起業家の方も多いのではないでしょうか。
税理士費用といった固定費はなるべく抑えたいものですが、会社の決算や税務申告が自分でできるかどうかも分からないですよね。
クラウドで簡単に会社の税務申告書が作成できるという「全力法人税」というソフトを使って自分が役員をしている会社の税務申告書を作成してみました。
自分で会社の税務申告ができるかどうかの判断軸も含め、解説していきますのでご自分で会社の決算と税務申告の処理ができるかの参考にして頂ければと思います。
【目次】
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会社の税務申告をどう処理するか
全力法人税の概要
全力法人税のレビュー
感想
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会社の税務申告をどう処理するか
多くの会社は税務申告を税理士に依頼する
起業した会社の多くは、会社の決算税務申告を顧問税理士に依頼する事になります。
会社が税務申告をする場合、
〇会計ソフトで集計を行い決算書を作成
〇作成した決算書を元に税務申告を作成
という作業が必要になります。
まず、会計ソフトでの決算書を作成にはある程度の簿記や会計の知識が必要となります。最近はクラウド会計ソフトFreeeといった便利なシステムもありますが、全く知識が無い方は難しいでしょう。
会計ソフトで決算書の作成ができたとしても、次に税務申告書を作成しなければいけません。税務申告書は膨大な作成書類の量があり、今までは市販ソフトも複雑であり高価でした。
よって、殆どの会社は税務申告の際は税理士さんに依頼するのです。
税理士費用の相場
会社の決算税務申告を依頼する場合「毎月の顧問契約」をするか「決算書の作成や税務申告の作成を年1回単発で依頼」する2パターンがあります。料金相場は以下のとおりです。
依頼パターン | 年間費用の相場 |
毎月の顧問契約 | 30万円 |
年1回税務申告書の作成のみ | 5万円~10万円 |
年1回決算書と税務申告書の作成のみ | 10万円~20万円 |
あくまで一般的な相場であり、お金の流れが複雑な会社や売上高が5,000万円を越えるようなケースは変動しますのでご注意下さい。
起業当初は税理士費用を抑えたいなら。。。
会社設立して事業が安定するまでは税理士費用を抑えたいという方は、下記の方法を参考にしてみてください。全力法人税の使い方は後述しておりますので、使用できるかはそちらで判断下さい。
自社でできる事 | やり方 |
〇会計ソフトで決算書作成 〇全力法人税の使用 |
自分で会社の税務申告が可能 |
〇会計ソフトで決算書作成
✕全力法人税の使用 |
決算書は自分で作成
税務申告書のみ単発で税理士に依頼 |
✕会計ソフトで決算書作成
✕全力法人税の使用 |
決算書及び税務申告書を単発で税理士に依頼 |
全力法人税の概要
創業期はなるべく税理士費用を抑えたいを可能にするソフト
全力法人税とは、インターネットで会社の税務申告書一式が作成できるクラウドソフトです。ジャパンネクス株式会社という、代表が税理士の方が経営する会社が運営しているソフトになります。
「創業期は費用をなるべく抑えたい」を可能にする、年間1万円~2万円程度で小規模な会社の税務申告一式が作成できるクラウドソフトです。
全力法人税の概要
全力法人税は、次のような特徴があります。
〇小規模企業に特化したシンプルな機能
〇ネット環境があれば使用可能、インストール不要でWindowsとMacに対応
〇メールアドレスとパスワードだけ登録可能。
〇無料で試用できるが、印刷は有料
〇利用料金は初年度19,800円、2年目以降10,000円
どんな会社向けのソフトか
全力法人税は、以下のような小規模法人向けのソフトです。
〇年商2,000~3,000万円ぐらいまで
〇本店のみで営業、支店は無し
〇社長様ひとりだけの会社
〇消費税の納税義務はない
作成できる税務申告書類
作成できる税務申告書類は以下のとおりです。
〇法人税申告書別表1(1)、2、4、5(1)(2)、7(1)、14、15、16(1)(2)(6)(7)(8)
〇摘要額明細書
〇事業概況説明書
〇勘定科目内訳明細書1、2、3、4、5、8、9、11、14、15、16
〇固定資産台帳
〇道府県民税申告書6号様式
〇市町村民税申告書20号様式
「小規模法人が税務署に提出する書類は一通り作成できる」というイメージを持って頂ければ問題ないと思います。ただし、操作を簡易的にする為に節税効果の薄いものやレアケースな書類という物は作成する事ができません。
くわしくはこちらをご覧下さい。
決算書は会計ソフトで別途作成する必要がある
このソフトは、法人税と地方税の申告書の作成が作成できるソフトです。何回も申し上げますが、決算書は別途ご自分で集計して作成する必要があります。
まず弥生会計やfreeeといった会計ソフトで決算書を作成します。その後、全力法人税を利用して税務申告書類一式を作成します。作成作業が終わったら、決算書と税務申告書類を印刷して、税務署と各自治体に提出して申告が完了します。
※全力法人税は消費税の申告書を作成する事ができません。消費税納税義務がある方は、弥生会計やfreeeといった会計ソフトから消費税申告書を作成する必要があります。
全力法人税を利用するメリット
全力法人税を利用するメリットは、ズバリ税務申告コストの削減です。
法人税の申告書を作成する作業は大変です、税理士さんにお願いするという会社が殆どです。そうすると税理士さんに決算料を支払う必要があります。相場は前述のとおりです。
全力法人税のを使えば1万円~2万円(消費税が改正されるのでざっくりとした数字です)程度で税務申告書を作成する事ができます。
全力法人税のレビュー
では実際に全力法人税を使用して自分が役員をしている会社の申告書を作成して行きたいと思います。弥生会計で、決算書は既に作成済みです。
まずは会員登録とログイン
まずは全力法人税にアクセス、右上の「無料登録」をクリックしアカウント登録します。
申告書を作成するをクリック
ログインしたら丁寧に挨拶してくれます、「申告書を作成する」をクリックして先に進みます。
会社情報を入力
会社の本店所在地や事業年度、経理担当者などの情報を入力していきます。この辺りは分り易く整備されていて、税務申告書作成の知識が無くてもクリアできそうです。
税率の入力
「管轄の自治体の税率を入力して下さい。フォームにはあらかじめ標準的な税率が入力されています。」との事。自治体によって税率が違ったりするから、ここは自分で調べなきゃいけないみたい。。。
税率を調べるのは少しややこしいので、税務の知識が全く無い方には難しいですね。とはいえ、何の税率を調べれば良いかは分り易く書いてあるか。。。
都道府県民税の税率を千葉県のHPで調べる
千葉県に本店がある会社の申告書を作成しているので、千葉県のホームページで都道府県民税の税率、均等割額を確認します。表の中から、自社の資本金額などを確認して、税率を調べます。
市民税の税率を船橋市のHPで調べる
船橋市に本店がある会社の申告書を作成しているので、船橋市のホームページで法人市民税の税率、均等割額を確認します。
事業税率、地方法人特別税率を千葉県のHPで確認
事業税の税率、地方法人特別税の税率を調べます。千葉県のホームページに記載してありました。
還付先口座、管轄の税務署を入力
税金が還付される場合の口座情報、管轄の税務署等を入力します。管轄の税務署等は、グーグルで検索すればすぐに調べられるので、ここは難しくないですね。
株主情報を入力
株主に関する情報を入力します。入力箇所にマウスカーソルを併せると先ほど入力した情報から予測が出てきますので、入力の手間は少し楽になってきます。
株主名簿が簡単に作成可能
株主情報を入力すると、株主名簿が自動で出来上がりました。同族会社の判定も自動で行ってくれます。
税務申告書の作成を開始
弥生会計やfreeeといった会計ソフトで決算書を作成している場合、会計データと連動して簡単に税務申告書の作成ができるみたいです。今回は手動(その他の方法で作成)を選択します。
決算情報を入力
作成した決算書の数字(利益額など)を入力していきます。必要最低限の情報だけを入力すれば法人税の計算ができるようになっていますね。
これは凄い!ただ、ある程度の経理の知識が無いと難しいかな。。。
内訳情報を入力していく
勘定科目内訳書に記載する情報を入力していきます。減価償却費なども計算してくれるので安心です。
画像は固定資産台帳だけですが、実際このフェーズは13ページもあるのでちょっとしんどいかったです。とはいえ、税務署が作成しろといっている書類が多いので、全力法人税が悪いという訳ではありません。
税務申告書の作成
申告書に必要な情報を入力していきます。このフェーズは税務申告書を自分で作った事がある経験がないと難しいですね。殆どは既に入力したデータが連動して自動計算してくれるので、入力ストレスは殆どありません。
このフェーズは5ページ程度作業をすれば終了です。
記載方法を分り易くまとめたマニュアルもありました。
事業概況書の作成
申告書作成のフェーズが終了したら事業概況書の作成です。決算書の数字を丸写ししなければいけなくて、凄くしんどかったです。会計データと連動していればそんなにストレスが無いのかもしれません。
何回も言いますが、税務署に提出する書類が多い事が原因で、全力法人税が悪い訳ではありません。
申告書作成作業終了、税額が出る
これまでの作業が終了したら、今回の法人税額が出てきます。会計データに指示された仕訳を入力します。ここまでの作業は1時間程度。会計データを連動すれば30分くらいで終わったのかな?
カード決済した後に印刷
作業が全て完了したらカード決済(ペイパル)を行えば、今回の税務申告書を印刷する事ができます。
申告書は郵送か窓口提出のみ
写真は全力法人税で申告書を印刷したものです。申告書は電子申告はできないので、郵送若しくは窓口で提出する事になります。また、税金の納付署までは自動で出力する事ができないので、こちらは自分で作成して納付するようにしましょう。
感想
税務申告書を自分で作成した経験がある自分としては、簡素化されたソフトで使いやすい印象でした。
一般の方が利用されるのであれば下記の会計知識が必要だと思います。
〇自社がどの様な届け出を税務署に提出しているか把握している
〇法人税や法人県民税といった会社にどのような税金が課せられるか知っている
〇会計ソフトで決算書を作成できる
〇損金算入・損金不算入といった言葉の意味が分かる
〇納税充当金の仕訳追加という言葉の意味が分かる