会社設立手続きで事業年度を決める際の注意点|J.J.works行政書士事務所

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会社設立手続きで事業年度を決める際の注意点


多くの方が適当に決めてしまいそうな会社の事業年度ですが、会社の事業年度によって資金繰りや税金が変わってきます。今回は、事業年度を決める際の注意点について解説していきます。

事業年度の概要

事業年度とは会社の経理期間

事業年度とは、会社がどの程度儲かったかを計算する期間の事です。事業年度が終わると会社は「決算」を行い、税務署に対して税務申告と納税を行います。事業年度は法律で最大1年間と決めらており、1年間とするのが通常です。

事業年度は自由に決める事ができる

会社の事業年度は最大1年間と決められていますが、1年以内にしても問題ありません。

たとえば、4月10日に会社を設立した場合、1年間だと4月10日~翌年4月9日になります。ですが、切りが悪いので、こういった場合は4月10日~翌年3月31日までとするのが通常です。

また、この場合3月31日の決算になりますが、3月は忙しいのであれば、1年目は4月10日~12月31日、2年目は1月1日~12月31日。というように自由に決める事ができます。

事業年度はいつでも変更する事ができる

事業年度は株主総会(社員総会)などで決定し、税務署に届出をする事で簡単に変更する事ができます。この場合も1年の事業年度を超える事はできません。決算、申告については変更した事業年度で行う必要があります。

事業年度を決める際の注意点

消費税の免税期間を考える

消費税の納税義務の概略

消費税の納付義務が生じるには一定の条件がございます。

➀2年前の売上が1,000万円以上
➁前年半年の売上&人件費が1,000万円以上
➂資本金1,000万円以上で会社設立
➃会社設立時に親族が経営する会社の2年前の売上が5億円以上

この条件に該当しなければ、消費税を納付する義務はありません。消費税額は税額も大きいので、消費税を納めなくていいというメリットは大きいです。事業年度の決め方によって、➀と➁に影響がでる事があります。

決算期変更で消費税節税

上記「➀2年前の売上が1,000万円以上」に対しての対策です。この売上が1,000万円というのは年換算の金額になります。

たとえば、1期目(4月10日~3月31日)の売上が1,500万円だった場合、3期目から消費税を納付する必要がございます。

この場合、1期目を4月10日~12月31日に決算期変更したとします。この9ヶ月の売上が700万円だった場合、年換算すると933万円になり、結果1期目は売上1,000万円未満という事で3期目の消費税納税義務を回避する事ができるのです。

年商予想と繁忙期を考慮して事業年度を設定するのが大事です。

事業年度を短くして消費税免税

「➁前年半年の売上&人件費が1,000万円以上」に対しての対策です。前年半年の売上&人件費が1.000万円という計算は、事業年度が7ヶ月以下の場合は計算されません。

例えば、1期目を1年間いっぱいとしていた場合、最初の半年間(4月10日~10月31日)の売上と人件費が1,000万円を超えてしまった場合、2期目から消費税を納付する必要が出てきます。

ですが、1期目を7ヶ月以内にしていた場合、同じ最初の半年間(4月10日~10月31日)の売上と人件費が1,000万円を超えてしまったも、2期目は消費税を納付する必要は無いという事です。

売上の波を考える

出費が多い月を避ける

事業年度終了の2ヶ月後は税務署に税金を支払いしなければなりません。消費税の納付義務も発生してくるとその金額は大きいものになります。

これを考えると、事業年度終了の2ヶ月後は出費が少ない時期に設定するのが望ましいでしょう。また、入金が不足する時期も避ける事が望ましいです。

例えば

賞与の支払時期
源泉所得税の納付時期(1月、7月)
労働保険の申告時期(7月)

などになります。

最初は消費税免税を優先して事業年度を設定して、会社が大きくなったら資金繰り優先で変更するという形が多く見られます。

繁忙期は面倒くさい

事業年度が終了して決算をする時、税務申告書の作成等面倒な仕事が沢山あります。税理士に依頼するとしても在庫の棚卸しなどは自分で行う必要があります。売上が大きく上がる繁忙期を避ける事で、会社の事務負担を減らす事ができます。

売上が上がる月は年度末にしない

季節によって売上が変動する業者の場合、売上が上がる月を事業年度末にするのは避けた方がいいと言われています。なぜなら、事業年度末に利益が大きく上がる会社は、節税対策がとても難しいからです。

こちらについても、最初は消費税免税を優先して事業年度を設定して、会社が大きくなったら変更するという形が多く見られます。

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